今や仕事やプライベートにもおいても、スマートフォンの存在は欠かせない時代となった。他者との連絡をはじめ、学習アプリやゲームアプリ、SNSなど電話としての機能面以外に提供されるサービスは豊富にある。
そこで1つ質問したいのだが、「5G」は知っているだろうか。4Gに変わって一層通信スピードが高速化された新たな通信システムを指す。今後は4Gから5Gが導入されるため、5Gがどういったものかを調べてみた。ここでは、5Gの特徴や用途、5Gがもたらす可能性について書き記そうと思う。
5Gとは
5Gは2020年からサービス開始が予定されている第5世代移動通信システムである。「G」は「Generation」(世代)を意味し、第5世代という意味になる。
日本における携帯電話の歴史は1979年からである。当時は1Gや2Gが精一杯であり、音声通話の身に限られていた。2004年に新たな通信システム(3G)が登場した。これにより、PCだけでなく携帯電話からもWeb上へアクセスできるようになった。
今では当たり前のようにスマートフォンで調べものをする人をみかける。
処理の高速化および大容量の通信可能
5Gの大きな特徴として、通信速度の高速化が挙げられる。通信回線は高速道路にたとえるとわかりやすい。どんなに高速道路の整備が進んでも、自動車の量(利用ユーザー)が増えると渋滞しやすくなる。そこで、新しい高速道路を設置。道を分散化させることにより渋滞を未然に防ごうというわけだ。
5Gは4Gのおよそ100倍といわれており、通信スピードが大幅に速くなる。情報機器の使いやすさは通信速度が左右すると個人的に考えている。
たとえば、「処理が重くなった」または「画面が固まった」経験をもつ人はいないだろうか。スマートフォンにたくさんの作業をさせると処理が追いつけず、思うように動作しない事態はある。このとき、処理が終わるのを待っている時間がもったいないと感じてしまうだろう。
5Gによって通信スピードが速くなりストレスフリーとなる。
接続端末数の増加
1つのエリア内で接続できる端末数が4Gの10倍といわれているが、接続端末数が増えてもあまり実感はないかもしれない。
たとえば、空港やバスターミナル、ライブ会場などをイメージするとよいだろう。たくさんの人が通信機器を利用する場所は、通信が不安定になってしまう。
接続端末数が増えることで、従来よりも通信環境をスムーズにできるというわけだ。
遅延が少なくなる
遅延は、配信ツールなどでも指摘されている現象であり、音声やボタンを押してから任意の動画が発生する前の時間である。リアルタイムの時間より少し時差があるため、情報の伝達が遅れたり、コミュニケーションがうまくいかなかったりすることに繋がりかねない。
また、タイムラグが発生するとストレスの要因や作業効率にも影響が出る。5Gによって遅延が少なくなるということは、従来の情報伝達技術より違和感なく送受信が可能となるだろう。
5Gの可能性を考えてみる
5Gによりネットワークが素早くなることで使いやすさだけでなく、新しいサービスの展開が期待されている。ここでは、今後5Gがもたらすだろう利便性についてについてご紹介する。
自動クルマ社会の実現
近年話題になっている自動運転。4G回線を使った自動運転でも一般道路を走る遠隔型自動運転システムの実験に成功している。5Gはタイムラグを限りなく少なくするため、遠隔操作が向上するだろう。この自動化運転技術研究が実用化されると、将来的に人間からロボットが自動車を運転する時代となる。5Gはその一歩を担っているのだ。
運転が苦手や運転免許をもっていないといった人も自動運転の実用化により、将来的に快適なドライブを楽しめるだろう。
ロボットの遠隔操作
5Gの特徴である低遅延は、可能なかぎりリアルタイムでの通信を可能とし、その点から通信を安定させる技術といえる。たとえば、産業型機械(センサーや産業用ロボット)における指示が正確になり、操作性も格段に向上することが期待できる。
建設機器の無人化による災害復旧作業
自然災害を受けた地域の復興に遠隔操作型が使われている。二次災害を回避するためにとても役に立つ無人ロボットであるが、カメラからみれる映像の画質があらく、操作しづらいという難点を抱えている。
現在、5Gを利用した建設機器の遠隔操作実験が行なわれており、5Gの大容量・低遅延という特徴が以前よりも操作性能が向上。搭乗したときの操作と大差なく遠隔操作ができた。今後は危険区域でも遠隔操作による無人建機を利用し、復興支援に大きく貢献できるだろう。
ドローンの可能性
さまざまな場所で利用されているドローンは、さらなる活躍が期待される。ドローンはホバリング(飛空中その場で静止する)が可能で、遠隔操作をしながら人の出入りが危険な場所も入り込める優れもの。
5Gを使えばドローンから送られてくる映像や目標データがリアルタイムで送られるようになり、送られてきた映像をもとにその場で分析を可能とする。
5G時代に楽しめる趣味
5Gは私たちが趣味で使う機器にも利用できる。現在注目を集めているVR(仮想現実)ゲームやAR(拡張現実)などがあてはめられる。それだけでなく、5Gを活用したビジネスが今後増えると予想する。
VRを使ったスポーツ観戦
MR(複合現実)とVRが5Gを利用した新しいビジネスを展開できるかもしれない。VRでは、高品質の画像を出力するために膨大なデータ通信を必要とする。これが5Gによって実現可能になるだろう。現在考えられているのは、観客席からタブレットを利用しスタジアム内の自由な視点からスポーツ観戦できるという仕組みである。
たとえば、バッターの細かな立ち位置やピッチャーの投球、ストライクやボールの判定など、スタジアム内であれば自由な視点を選んでタブレットからスポーツを観戦できるのである。
eスポーツ
プロゲーマーたちが腕を競うeスポーツにも注目が集まる。たとえば、操作性が重要視される対戦型格闘ゲームでは、タイムラグの不満が多い。操作しながら攻撃ボタンを押したはずが反映されていないというのは、よくある話だ。eスポーツではスムーズなデータ転送が求められるため、今後は5G対応した機器の使用によって、操作性のよいeスポーツ大会が繰り広げられるだろう。
また、eスポーツではオンライン対戦も実施される。オンライン対戦は特に遅延問題があるため、5Gが普及することでよりeスポーツの盛り上がりも大きくなるだろう。
バーチャルコンサート
5Gを利用したバーチャルコンサートの実用化も進められている。大量情報を送り込む5Gだからこそ実現可能なビジネスとなるだろう。
一般的にコンサートは直接会場に足を運んでイベントを楽しむものだが、バーチャルコンサートは、VRを利用してバーチャル空間からコンサートを楽しめる。バーチャル観客席を体験しそこからコンサートを観戦する。
2020年では、無料のコンサートが多い。しかし今後は商業化が見込まれる。
情報機器を活用して豊かな生活に
5Gの利用範囲は、仕事や医療機関、個人の趣味など広範囲にわたる。情報伝達が充実することで、新しいサービスの提供が可能になるだろう。「lot」という言葉を耳にした人も多いかもしれない。AIやスマートホームなどの技術から生活を豊かにするという考えである。
自宅まで歩いている途中「この先工事中のため迂回が望ましい」と機械が人へ話しかけ、自宅までの道を案内するような技術である。ロボットが人間の生活を手助けする時代もそう遠くはないのかもしれない。